「え、何?」
私を見て固まる神谷。
何かついてる系ですか?
「浴衣……」
あ、え、驚きすぎじゃない!?
「いや、変だよね!よね!夏帆から無理矢理「変じゃねーよ?」
「え……」
神谷は顔を逸らし、
「かっ可愛いーんじゃねーの?」
と言った。
マジかマジかマジか!
「ほら」
そう言って、差し出された手。
え、何で、何で!?
「人多いし…、居なくなられたら困る」
…………神谷は私の心がよめるのか。
私は、神谷の手を振り払う……………
わけがなく、
手を握った。
ぎゅっと握られる手。
大きい……。
て、手汗大丈夫かな…?
私は神谷の少し後ろを歩く。
私…………
何で神谷なんかにドキドキしてんの!?!?
屋台に近づくにつれ、どんどん明るくなっていく景色。
顔が赤いのがばれませんよーにっ!
「神谷っ!次ぎはあめりんご食べたいっ!」
やっぱり、夏祭りはテンションが上がる!!
「お前、少しは落ち着け……。
あと、りんご飴だからバカ」
神谷は何故か疲れている。
神谷もおじいさんになったのか。
「あっ、かき氷……」
神谷の後ろを歩いていた私はどこに行ったのか、
今じゃ神谷を引っ張っている。
りんご飴の屋台に行く前に
かき氷の屋台を見つけ、足を止めると
「………食べんの?」
と神谷が聞いてきた。
「うん!」
「あー、俺買ってくる」
そう言って、離された手。
「あ……」
離された手は、少し寂しく感じる。
「何味?」
「いちごっ!」
神谷は「ん」と、短い返事をして、人混みの中へ行く。
うーん……あと何食べよっかなあ。
そんなことを考えていると、
「間宮?」
「えっ……」
何で……っ!?
心臓止まるかと思ったよ、今!!!
「まさか、会うとはなー」
「かっ神崎くん………」
優しく微笑む神崎くん。
き、緊張する………
早く神谷帰ってこーい!!
「…一人?」
「いやっ!友達と来てる……神崎くんは?」
「俺も友達と来てたんだけどさ……逸れた」
苦笑いの神崎くん。
「そっか……」
「「…………」」
……………無言。
話すの久しぶりだからな……
「間宮…「おい」
え?
神崎くんが話そうとした時、少し不機嫌な声がした。
「神谷…」
声のした方を見ると、かき氷を2つ持ち、見るからに不機嫌な神谷が居た。
「えっ…友達って神谷?」
少し驚いたように、私に尋ねる。
「ちげーよ」
どうして神谷が答えるの!?
しかも、違うって……
「環奈は俺の彼女だから」
あっ………忘れてた!!
ていうか、
なっなななな何で名前!?
神谷に名前で呼ばれただけなのに、胸が高鳴る。
でも神崎くんにばれたよ!ヤバいよ!
神崎くんを見ると、少し悲しそうな表情をしている。
何で、そんな顔してるの……?
聞きたかったけど、聞けなかった。
神谷が私の手を握って、歩き始めてたから。
「ちょ、ちょっと神谷!」
お祭りから少し離れた河川敷。
神谷の手を振りほどく。
「ごめん、かき氷少し溶けた」
神谷は、いちご味のかき氷を私に差し出す。
あっホントに溶けてる……。
まぁ、食べれないことはないけど。
ていうか、よく片手で2つもかき氷を持てたな……
ある意味尊敬します。