「・・・っ!!」
振り返ると、
そこには夏帆ではなく
神谷がいた。
ちょ、びっくりしたっ!!
「な、なななななな!?」
「な、ばっかうるせーよ!」
え、すみません。
「・・・神谷さん楽しそうデスネー。
女子に囲まれて」
嫌味っぽく言う私に、
眉間にシワを寄せる神谷。
「は?全然楽しくねーよ。
お前と居る方が楽しいし」
・・・・・・神谷は私をドキドキさせる天才ですか?
「あ、あっそ・・・。
私、夏帆探すから・・・じゃあね!」
神谷といると、ドキドキするから
その場を後にしようとすると、
「・・・環奈」
と、神谷が言った。
・・・今、名前とかずるい。
足を止めて、神谷の方を向く。
「な、何・・・?」
顔が赤いのを神谷にバレないようにするため、
下を向いて言う。
「明日の夜・・・話したいことあるから」
明日・・・
神崎くんとの約束は3日目・・・
ということは、明日。
「明日は無「じゃあ、そーゆーことで」
おいコラ。
最後まで聞けェェェェばァァァァァか!!
バッと顔を上げるけど
神谷はもういなくて。
「勝手すぎだよ・・バ神谷」
そう呟き、夏帆を探しに行った。
「うわー!!どうしよ・・・」
とうとう来た3日目の夜。
夕食とお風呂を済ませて、
布団の上で頭を抱える。
私の部屋は、私と、夏帆と西野さん。
2人共ケータイを扱っていて。
私が悩んでることに気づいて無い様子。
いいんだ、いいんだ!
私は空気でいいよーだ!!
ていうか、私は
何時にどこに行けばいいの!?
え、もう行っちゃうよ?
ドアまで行き、ドアノブに手をかけようとすると、
ーーーーーコンコン
とノックする音が聞こえた。
ドアノブに手をかけ、
ゆっくり開けると
「神崎くん?」
神谷ではなく、
ジャージ姿の神崎くんがいた。
「何時とか言うの忘れてたから、・・・来た」
そう言い、
私の好きな笑顔を見せた。
私はその笑顔に惚れたのかな・・・
「じゃあ、自販機のとこまで行こっか」
「うん」
私の少し前を歩く神崎くん。
一定の距離を保ちながら歩いた。
ーーーガコン
「どうぞ」
神崎くんは今買ったオレンジジュースを
私に渡しながら言った。
「ありがと。
私、オレンジジュース好きなんだ」
「知ってるよ」
え、何で知ってるの?
もしかして、ストーカ「一年の頃、毎日飲んでたよな」
ニッと笑う神崎くんを見て、
疑った私を殴ってやりたい。
「・・・俺ってそんな昔から間宮のことが好きだったんだなー」
照れくさそうに言う神崎くんを見て、
断りにくくなる。
「俺なんで間宮のこと、
好きになったんだろーな」
真っ直ぐ前を向いて言う神崎くん。
え、それどーゆう意味ですか。
「多分、いや絶対かな?
俺、間宮の一生懸命な姿に惹かれたのかも」
「え?」
一生懸命・・・?
「いっつも何にでも全力で取り組んでさー、
とくに頑張ってたのは、体育のバスケだよな。
なかなかシュートが決まらなくてさ、
チャイムが鳴ってもやってたよな。
それでさ、俺のとこに来て、
“教えてくれないかな?”って」
そんなこと・・・あったかも。
「やっと何本もシュートが入るようになって、
俺にお礼言ったときの
嬉しそうな笑顔にキュンときた。
この時から好きだったんだなー」
ははっと笑う神崎くん。
懐かしいなぁ。
思い出に浸っていると、
ーーーーギュ
・・・・・へ?
「・・・・・か、神崎くん・・・っ!?」
腕を引かれ、
気づけば神崎くんの胸の中にいた。
「・・・ごめん」
そう言う神崎くんの抱きしめる力は強くて。
でも、声は弱々しくて。
私は抵抗できずにいた。
「・・・間宮の好きな奴なんて
見てたら分かる。
でも・・・もう少しだけ、
このまんまでいさせて」
何も言えずに、
ただ抱きしめられていると
ーーーーガタン
と音がした。