【完】告白相手、間違えました。






「…………………は?」




何言ってんの?



どっかで頭打ったの?





「あんた頭大丈夫………?」




「喧嘩売ってんのか、バカ」




ものすごい顔で睨まれてるよ私!





ていうか、バカとかブスとかばっかだな、おい。





「………断って下さい。お願いします」



腰を90度に折り、頭を下げる私。





「何言ってんの?お前」





………おっしゃる通りです。










そりゃ、告白してOKもらったら振って下さいなんて、
バカなの?こいつ、って私も思う。





……でもね、








で・も・ね・っ!




私は好きで告白した訳じゃない。




間違ったんです!えぇ。



告白する相手を。






「私は、あんたに好きで告白した訳じゃない!あんたにコクるなんて一生ないから!」










「………………で?」



不機嫌になるわけでもなく、
平然とした顔で言う。





「…………で?って………」





で?って何さ、で?って。




「もう決定事項だから☆」




神谷は笑顔でそう言った。



え、なんかキモい。




え、キャラ違うくない?




え、ホントに付き合うの?



ちょっ……………





誰か嘘だと言って下さい。










翌日。




教室に着くと、夏帆に声をかける。





「おはよー、夏帆。今日も可愛いぃぃ!」




「キモい。ところで昨日はどうだった?」




き、キモ……っ!?




昨日………………。





「夢だよ、夢。昨日の出来事は全部夢だよー」




そうさ、夢。


あれは、夢〜♪





「はぁ?何言ってんの?」




意味分からないと言った様子で私を見る夏帆。






「だーかーらー、夢な「おい、バカ。夢じゃねーよ」


私の背後から聞こえた声。



この声は………、




恐る恐る振り返ると、



「げっ」




今、1番会いたくない人No.1の、神谷だった。










「や、やぁ、神谷。ご機嫌いかかが?」




「………………うぜぇ」






………ご機嫌がよろしくないようで。






「つーか、昨日のことは夢じゃねーよブス」




「えっ!どーゆうこと!?」



夏帆は興味津々に言う。



そりゃ、気になるよね……




「実は俺達、付き「わーわーわー!」




神谷の言葉を私が遮る。




私が大声を出したせいで、クラスに居た人達がこちらを向く。











は、恥ずかし………………


じゃなくて!




私は神谷の腕を引っ張り、小声で話す。




「ちょっと!付き合うなんて言ってない!」




「まだそんなこと言ってんのかよ…」




「そんなことって……私にとっては「お前がどんなに俺達の関係否定したって、あのラブレターを見せたら……皆信じるぜ?」




な………なんて、卑怯な奴なんだ!





「……とにかく、お前は黙ってろバカ」












気づけば、クラスの人達の視線はなくなっていた。





よかった………。







「実は、俺達付き合ってんの」




「へ?」




神谷は一体、誰に向けて言ったのだろう。






「「「えぇぇぇぇぇぇぇえ!?」」」





驚いた様子の夏帆の声。












………………と、






女子の声。






え、怖い。












「ちょっと間宮さん!どういうこと!?」



「あんたみたいなフツーの女が大翔と!?なんでよ!」


「ねぇ、大翔!あんなフツーの女より私の方がいいって!」







一斉に神谷に集まる女子。







わ、わー、言われ放題☆




あんまり言わないでー!涙でるからっ!





神谷は自分の席に着き、女子達の質問に適当に答える。






神谷の…………っ、ばーかあぁぁぁぁぁあ!










きっと神谷は、クラスの皆に言ったんだ……。





な、なんてことをしてくれるんだっ!神谷め……………。






「わ、私達は付き合ってるけど、付き合ってないから!」




神谷に群がる女子達に向け言う。






女子達よ…………








何言ってんだコイツ、みたいな目で見ないでー!





「……結果付き合ってるの?」




一人の気の強そうな女子が聞く。





「えっと………そう言うことになる……かな………てへ☆」




「てへ☆とか可愛いくねぇよ。ブス」





「それが彼女に対する態度かあぁぁぁあ!!」





「「「やっぱり、付き合ってるんだ………」」」