【完】告白相手、間違えました。






「クリスマスイブまでに彼氏ができなかったら……」





「……かったら?」




神谷の後に続けて、聞いてみる。






「俺とクリスマス……過ごす」






「…………」






ぽかーんとする私。




ほんのり頬が赤くなってる神谷。




ニヤニヤしてる夏帆。





「わっ、分かったか!」




神谷の声ではっとする。






私が神谷とクリスマスを過ごす……?






うん、想像できない。










ていうか、そもそも……





「…何で私?」




疑問に思い、聞いてみる。




神谷なら、大勢の女の子と過ごすと思うんだけど…





そう思うと胸が痛い。




何で最近痛いんだろ……





「…理由なんかよくね?」




いやいや、


理由いるだろっ!!





「ちょ、私に拒否権……」










「お前に拒否する権利なんかねーよ?」





耳元でボソッと言われる。




……くすぐったくて、何か色っぽい。って…





変態か私は!!!





でも、わざわざ耳元で言う必要ないじゃんか!





ドキドキしたじゃんか!!






自分の席に戻って行く神谷の後ろ姿に



「バーカ…」



と呟く。





はぁ……




何か面倒臭いことになったな……










「間宮、居る?」





翌日の放課後、




教室のドアの方から、私を呼ぶ声がした。






顔をドアに向けると、




神崎くんが居た。





「神崎くん?どうしたの?」





慌てて神崎くんの方へ駆け寄る。





「いやー、よかったらさ一緒に帰らね?」






2回目のお誘いに思わず驚く。










夏帆は、彼氏と帰るらしいし……いっか。






「うん。帰ろ」





私がそう言うと、ニコッと微笑む神崎くん。





……笑った顔素敵です。






「んじゃ行くか」




「うん!じゃあね夏帆!」





教室でケータイを扱っている夏帆に手を振り、

神崎くんの隣を歩いた。










「神谷とは順調?」




帰り道。




急に聞かれた内容に意味が分からず、首を傾げる。





「神谷と付き合ってるんでしょ?」






……何か最近、すっかり忘れてた。





「いやいや、付き合ってないよ?

今日だって、クリスマスイブまでに彼氏作らないと……」





あれ、何で神崎くんにこんなこと話してるんだろ。





「彼氏作らないと……?」




神崎くんは気になったのか、続きを聞いてくる。










「……っパ、パフェ奢らないといけなくて……」





適当にごまかしたけど、

神崎くんにばれてないよね……?




おそるおそる顔を見ると、

笑っていた。




ばれた……!?





「あははっ……。面白いね、間宮」




これは、ばれたのでしょうか……?





「……神崎くん?」





「……羨ましいよ」




「……え?」










「やっぱさ、間宮のこと好きだわ」




そう言って、微笑む神崎くん。





嬉しい……けど





「ごめんね、神崎くん……。返事、もう少し待ってくれるかな?」




確かに神崎くんのことは

好き、だけど……




その“好き”は、友達として……なのかな?





「……うん」




そう言った神崎くんの顔は、少し切なく見えた。










12月24日、クリスマスイブ




明日から冬休みです!





「あーーーっ!やだやだっ!」





「静かにしてよね!」





いつもより早く学校に来た私は、頭を抱え中。





だって今日は、




「そういえば今日だよね!神谷とのあの勝負!」






そうなんです。



今日は勝負(?)の日。





結局、彼氏は出来ませんでした☆