【完】告白相手、間違えました。






「間宮?」





神崎くんに呼ばれ、我に返る。





いけない、いけない。





「うん、帰ろっか!」




笑顔でそう言い、教室から出る。





大好きだった神崎くんからのお誘いなのに………






神谷が気になって仕方がない。






………………?



大好き“だった”?




今はどうなの………?










「へー、間宮んとこはそんなことするんだ」





「うん。私はお化け屋敷が良かったのにー…」





帰り道。





神崎くんと、文化祭について話している。





「神崎くんのクラスは、何するの?」





「お化け屋敷」





…………羨ましい。





私が思っていることが分かったのか、神崎くんは





「俺のクラスだったら良かったのにな」





と言った。










「……」




神崎くんとクラスが一緒だと、神谷とは同じクラスじゃなくなるのか………




昔は神谷なんか大嫌いだったのに……



今は何かおかしい。




嫌いなんて思ってない自分がいる。





「間宮?」





私が黙っていると、神崎くんが顔を覗きこんでくる。





「へ!?あ、そうだね!」







それから神崎くんとは、何を話したかあまり覚えていない。




気づけば家に居た。










「………………」





いよいよ待ちに待った文化祭!


なんだけど、




只今、目の前のドレスに放心中。





だって、だって…………






「フリッフリッすぎだろぉぉぉ!」






何なのこれ!?




私への嫌がらせですか!?











「まあまあ!早く着て!」



夏帆に押され


渋々、更衣室に入り着替える。






やっぱり、私には似合わない………。





スカート短っ!!






「環奈開けるよー!」





「ちょちょちょちょーい!待って!」





夏帆は私の言葉を無視して、更衣室を開ける。





夏帆が開けた瞬間に、目に入る人物。






「……神谷」










「環奈似合う!可愛いー!」




私に抱き着く夏帆より、神谷が気になる。





「な、何で居るの!?」





「居ちゃわりーかよバカ」





もう慣れました。えぇ





「……不機嫌ですね、神谷くん」






………おいおい、





気づかなかったよ!!






神谷、執事の格好してる………。





めちゃくちゃ似合ってる…………






普通にかっこいいです。










「……じっと見んなブス」





「………ブスですよーだ」





そう言って夏帆を離し、更衣室を出る。





やっぱり性格ブスだ。






神谷の横を通り過ぎる。





その時、




「……似合ってる」




小さい声だけど、私には聞こえた。





驚いて神谷を見ると、顔が赤くなっている。










まさか、褒められるとは………!





嬉しくなって笑顔になる。





神谷は、私の頭をポンポンとして笑い、どこかへ行った。






………ドキドキしたぁっ!





神崎くんと居たときは、そんなことなかった。





………好き、とか?






それはない。……多分










文化祭が始まり、1時間が経過した。





お客さんは沢山来る。






……神谷目当ての女子がほとんどだけど。





「きゃーっ!!大翔かっこいい!!」



「大翔ぉー。一緒に写真撮ろ?」





ほら、また女子!!






少しイライラする。






私の隣で営業スマイルの神谷。





「ちゃんと仕事してよ」





私は神谷に向かって冷たく言う。




神谷は悪くないのに…

…八つ当たりだね、ただの。





【完】告白相手、間違えました。

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