瞬間、ガツン、と。
まるで鈍器で殴られたみたいな衝撃が、あたしを襲う。
…そうだよ。
あたし今…何を言おうとしてた?
田中は花凛ちゃんのことが好きなんだよ。
彼氏がいても忘れられないくらい…
花凛ちゃんのこと、好きなんだよ。
それなのに、あたしが気持ちを言ったところで
…もう結果なんて、わかってるじゃん……
「…ごめん、周防」
「…あ、ううん…全然」
花凛ちゃんは“花凛”で
あたしは“周防”か…。
「か、花凛ちゃん、また喧嘩したの?」
「いや……で、なんだっけ?周防なんか言いかけてたよな?」
「……え?そうだっけ?」
…やっぱり言わない。
言えないもん…。
「忘れちゃったー!」
「はぁ?なんだそれ」
「ってか!あたしまたDVDかりてきたから見よーよ!」
「…まさかまたホラー?」
「違う!今度はラブストーリー!全米が涙したってやつ!」
「へぇ…」
…言っても結果がわかってるのに
傷つく勇気なんてない。