「今回の参加者は?」
闇に包まれた王の問いに、少年は口元を歪ませて頭を下げた。
その姿は、どこか機械的で、冷たい印象だ。
「……我が国を含め、六か国。参加者はパートナーを含め十二人です」
「……そうか」
少年の答えに、王は軽く鼻で息を吸い、ゆっくりと静かに吐いた。
少年は知っている。
この男が待っているのは、『死闘』と言う名の戦争ごっこではない。
待っているのは、長年愛し、手に入れられなかったあの“魔女”ただ一人なのだから……。
「では、五か国の城主に蝙蝠便(こうもりびん)を送れ」
「承知致しました。どういった内容に致しましょう?」
開け放たれた窓から、呼ばれたかの如く飛んできた五匹の蝙蝠。
少年は一匹の蝙蝠を肩に乗せ、足を組んだ王に問いかける。
「決まっているだろう? 招待状だよ」
頬杖をついた王の言葉と同時に、力強い稲光が塔を避けて落ちた。
一瞬だけ、少年から王の表情が見えた。
何とも言えない歪んだ笑みを浮かべ、嬉しそうな表情を隠せないでいる。
「承知致しました」
少年は微笑して頷き、思った。
もうすぐ、雨が降るだろう。
吐き気がする程の真っ赤な雨が降るんだ……と。