「宗十郎様のものです」
白く伸びる細い指が、
着物の帯に隙間を入れる。
「私の身に、
貴方様がいないと
生きていけない体にしてください」
「っ…とことん俺を恨め。俺だけを恨め」
開いた胸元に男の手を差し込み、
舌を這わせ紅にそまる絹を
視界に存在を確認していれば興奮を
抑えられるわけない。
沢山の罪を重ねたことを承知だった。
それでも欲しがった、
桐島様が霧里太夫を愛し欲しがったように。
苦しそうに喘ぎ声が部屋に響かせた。
太夫にしておけば、男はもちろんのこと
美しさにおいて女であろうと、
止められなくなってしまう。