「私を愛してくださるのに、
抱いてはいただけないのですか?」
「…それは…、」
「…先ほど貴方様を上から見えたのです。
他の女性と愛し合えたのに、
私ではいけないのですか」
客引きの行為を見られたか。
だから、
ずっと泣いて涙の跡が残る顔になった。
悪い自分でも、
俺は喜んでしまった。
手に届かない美しい太夫が、
自分に恋い焦がれてくれるのだ。
「お前は悔やむはずだ。
役者の私に抱かれたことを」
抵抗していた手を緩め、
うぶな女は、
「…後悔するはずないのですよ。
だって…私は、」
優美に光り髪飾りを外した。