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「桐島染五郎様、

久々の帰省なだけあって

緊張しておられるのですか」


「…そのとおりだ」


私の世界は襖の外の会話を盗み聞きをして、

どういうことをしているのかと

妄想を膨らませることが日課になっていました。


けれど、

今日は新しいお客様が来ているようで…?


でも、ずっと昔に聞いたことのある声です。


男の人の名は桐島染五郎様で、

もしかしたら桐島園の座長の

桐島様かもしれないですね。


“秋良勢源に

娘の桐里を返してもらうように談判に来た。

緊張している場合ではないが、

菊乃丞と宗十郎のおかげで

身元が発見できたんだ”


「……!!」