さぞかし、桐島様を嫌ったんだ秋良は。

自分の遊女を思いを寄せていた女の娘とあらば愛して、


だが桐島様の娘と思えば恨み、



だから愛でつつ自由を奪った。



「また金魚ぐらい買ってくるさ」


「…そうではありません。


私は…あの金魚が良かったのです。

生意気ですけれど…

一時の想い出の証でした…」


何故、

平気で俺たちが喜びそうな言葉を言うのだ。


単に、“霧里太夫だから”と

決めつけてもよいはずだが、


太夫が俺たちを想う気持ちの大きさが

物語っていたかもしれない。