「霧里、戻ろうか。 秋良に怒られてしまうぞ」 愉しげであったのに、 切なげに笑って金魚を離した。 「待ちな、太夫。これを持ってお行き」 屋台の旦那が気前よく渡して、 大いに嬉しそうな太夫は 硝子細工の中の魚を眺めていた。 「…楽しかったか?」 「とってもです!」