俺の胸に手を置いた霧里は微笑んで、


「望まれない幸福でも、

きっとお父様とお母様が許してくれます」


口が上手いところは父譲りか。

純粋の心は母譲りだ。


「この命が尽きた時でも、

私は貴方様の傍を離れません」


「…私もだ。

たとえ結ばれなくとも、

身を滅ぼそうが私は

お前から離れるつもりは無い」


秋良の執着心は理解できた。

男として美しい女を求めてしまうのは本能だ。


「今度また、

私を桐島園に連れて行ってください」


「構わない。お前の願いなら」


桐島様の娘さんだからではなく、


愛しい女だから、だ。