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肩を震わせ泣いて泣いて、

とぎれとぎれの霧里の言葉に

俺と菊乃丞の名を呼んで、

泣きやんだ時、桜が咲いたように

満面の笑みで有難う、と言った。


まだいわなくてはいけないことはある。


太夫が恋に堕ちた相手は、

今の桐島園の長、桐島染五郎。


温和できりりとした姿、

若手の時は宝のように輝いていたと聞く。


此処からはあくまでも推測ではあるのだが、

秋良のしそうなことは、

桐島様に復讐をするつもりだ。


桐島様の妻である太夫は霧里が奪われたときに

病みて亡くなり、

今もなおあの方は娘を、

お前を探している。