私を心配してくださる宗十郎様を

想ってしまうのは、恋、でした。


「菊乃丞様もどうぞ」



「…霧里、お前は泣いているのに何故笑う」


親のことと、私の存在について、

…などと口にしてしまえば、

不快な思いをさせてしまうのでは?


私は花魁です。


男性に心と体を

“気持ちよくさせる”、

それが仕事ですよ。


「宗十郎様、菊乃丞様…

覚悟は出来ました。私を抱いてください」


好きになってしまう前に

私がどういう人形なのか、

使われてしまえば辛いと思う心も

半減してくれるでしょう。