また母の噂を聞いてしまいました。 売れ役者の父と夜に会っては、 見送りと称して花街から消息を絶ったそうです。 「もともと、 霧里太夫はここの花魁で今の太夫と同じ顔」 分かっています。 私は生まれてはいけないんだって。 考え事をしていて、 目を開ければそこには 憧れの宗十郎様がいました。 「どうかしたのか、具合でも…」 「大丈夫ですよ、お注ぎいたしますね」