「いいや、だが… たまには金掛けて遊んでみたいものでな」 「む…いいか、今夜だけだ。葵屋も妖しすぎる」 余計なおせっかいもいいところ。 役者というのは、客の夜伽は毎日のように行われるわけだが、 自分の心は穢されたくはないと、 どこかで思いながら日々を過ごしていっていた。 しかしそれも昨日の言葉になり、 俺の役者人生で通らなくてはならない道を踏み切りそうだった。