「宣戦布告だ。

災難が過ぎた時、太夫の心をもらう。

宗十郎などにはやらない、

色者はそこらの遊女を相手にしていればいい」


「お前こそ望まれて他の太夫と過ごせるだろう。

葵屋の太夫は渡すつもりなど到底ない」


両者痛み分けになってしまうのか、

それとも叶わぬ恋をつきつけられ身を滅ぼすか。


「…初めて…俺が生まれてきて、

恋に堕ちると思ってなかった」


煙管を吹かし、

夜空を眺めていた霧里の笑顔が

頭から離れられなかった。

純真な乙女で利用されている、

とも知らないで生きていた。