「日付もどのような災いかも分からなければ…

いや、考えられるのは火事か」


「ああ、私もそうだと思っている」


「…分かった。

私の下にも手を回してみよう」


宗十郎は何としてでも霧里太夫を守りたいらしい。

守る事態は良いことであるのに、快くは思えない。


一輪の華は清く美しく、

儚げに散るその姿に

情をとられてしまう俺だからだった。


「私が霧里を守らせてもらう」

「菊乃丞…私が何を言っているかと問うたくせに、

見下げたことを言ってくれるじゃないか」