時間がたつにつれ霧里の身体の温度は上昇し、 処女の花魁は困惑して涙が枯れるぐらいになるまで泣き続けた。 「…宗十郎、悪かった」 「俺に謝るな。霧里に謝れ」 菊乃丞が珍しく頭を下げたのは当然と思った。 思いを通わせた女を傷つけたんだ。 「…霧里太夫…済まなかった」 「…何故、謝るのですか」 「本当に何も知らないんだな」 知るわけもない。 世間知らずをさらに超えた、 空の色さえ知らなかった女だ。