「…なんともない。 所詮色茶屋の端くれだ、その太夫を抱いてこっちは得するだけだろ」 「…お前な…、誰も見たことない太夫に会うと思えるのか?」 「は?」 甘い言葉のように、葵屋の主人の物言いは 妖しくもこちらの得だけを言い渡す。 「信用するつもりか?」