――― 「ここの酒は上物か、 それとも霧里太夫がいれたからなのか」 赤い着物に金の帯、 昨日とは違う着物は太夫の象徴ともいえような、 髪飾りも金の装飾で見違えた美しさだ、 遠慮がちなほほえみが女としての麗しさを…。 「菊乃丞、何を言っている。後者に決まっているだろう」 「お前に聞いたわけではない、宗十郎。 太夫も酒を飲んだらどうだ」