靄がかかったような心は晴らされず、 行き場の失くしてしまう猫のような気分になって、 「どうだったか、私の演技は」 「普段の宗十郎様と違って…」 聞かれたのに、 答えられなくて言葉が見つかりません。 「菊乃丞…お前霧里に何をした」 「何もしていないが」 知っています。 何もしていないことは…。 ですがここにいるべき人間でないと、 言われたようで…。