心なしか、 霧里の頬が赤くなったのを見てしまい、 血が頭に上り、 「菊乃丞、私は霧里の客だ」 「ならば私も霧里太夫の客になろう、 秋良さんに手回ししてもらおうか」 「…勝手にすればいい」 どうしてとか、何故なのか、 それは知らない。 だが、霧里を思うこの気持ちに 偽りなどあるわけなかったのだ。