すると、柱が叩かれるような音がして

宗十郎様は哀しげの笑みをこぼし、



「待っていてくれ」



思わず、私は彼の綺麗な手を握ってしまったのです。


このときは、まだ花魁が

恋をしてはいけないと知らなかった、


知るわけもなかったのです。



ずっとお傍から離れたくなくて、


宗十郎様を欲しがってしまいます。


「…ごめんなさい…、待っています」