微笑むお前は
実に可愛らしく、
純粋なままであると思わされるのだ。
「…宗十郎、こちに」
男に呼ばれ姫を
奴らに任せて廊下に出れば、
「絵島は本気で生島を愛していると聞く」
「…そうか」
「だがやつは
絵島殿をどう思うのかは定かでない、
しかし桐里を傷つけたことに変わりない」
友の菊に得意の裏話をささやかれるわけだが。
「夜明けとともにここを出ろ」
「あまりにも早過ぎる!」
「お前は分かっていない。
本気で愛した女を手に入れたいと
思う心の原動力は計り知れない」
説得力に欠けてほしかったのだ。
逆の立場に置かれていたとすれば
俺も変わりない、
そして初めて出会ったとき
一目で惚れてしまう私は、
有無を言わせず抱こうとしてしまったからだ。
「俺はお前に桐里嬢を頼むことにした。
責任は負ってもらうからな」
「…嗚呼」