いつのまにか夜が暮れて、

朝日が昇ったとき、


「私より先に…亡くならないでくださいね」


そう言い残したのでした。


牢屋に戻って

さくら様の身体を思い出してしまったのです。


姿よりも、

ずっと苦しい筈なのでしょう…。


「人形風情が。

籠の中にいるのがお似合いだ」


「…人形ではございません。

私は桐里、桐島桐里です」


今日日この時、

力強く生きてゆこうと

自信を叱咤したのでした。


「私を抱きたくば、

ここではなく田沼様のお部屋です。

ただでとは言いません、

太夫ですから」


「…こちに来い」