「……わたしと同じですね」
「どこが…。
どうせあんたは
将軍あたりに婚約を
申し込まれてでもいるんだろ。
身分の良い娘が」
「…いいえ、
私も病気になることは承知です。
遊郭で生まれ育って、
文字も読めず世間を知らずで、
愛する方を守るためにここにいます」
「……わるかった。
そうは見えなかった」
境遇が似ているせいでしょうか、
親近感がわいて彼女、
名はさくら様でそのうちに
仲のいいお友達になりました。
「出来る限り長く生きて、
力尽きるまで耐え抜くのです。
宗十郎様と結ばれるために」
「…桐里なら、叶うさ」