「…追われているのですから。
宗十郎様は殺されそうになった私を
死を覚悟で助けてくれたのです」
「追われている身なのか、
だから江戸か…」
無表情なだけ、
田沼様とお話はしやすかったのです。
表情を作らず、
無理に連れてこられたのですから。
「…話は終わりました。
もうよろしいですか」
後ろの女性たちが私を睨んでいることに
気をとられてしまうのと、
申し訳ない気持ちでいっぱいで…。
「その容姿で大変な目に遭ったな」
「いいえ、
お母様ほどではありません。
お父様と駆け落ちをして、
私を引き取られたすぐに
病にかかりなくなってしまったのです」