「なら、二人で遠くに、」
「私は宗十郎様といることが無理なのです。
桐里は我儘だから…、
だから心を返してください」
音を立てて崩れる思い出と桐里の笑顔。
「返すつもりなど到底ないぞ。
離すものか」
「いやっ、はなしてください…!」
ここまで力を込めて抱きしめたことはない。
悲鳴を上げる桐里は真の顔して嫌がる。
「壊してやる、桐里」
「っぐ…ゆるして…や…痛い!!」
「恨んでいい、
とことん恨むのだ。
お前は俺なしで生かしてはやらない」
愛が狂気にかわったのは、
二人の仲を引き裂く原因になった。