たった一言で、

と簡単に言えたとしても

一途な女にとってはそうじゃない。


昨日交換し合った詰草の葉が

一枚茎から取れているのを見て、

心障となりそうだ。


「…お前ほどの女はいないんだよ」


そのまま皆で相談をし、

結局結論が出ない。


一応菊乃丞には伝えておこうと、

梟を飛ばし全意見を交換するべきだと。


「…でも、

もしも大奥にいらっしゃるのなら、

本日の劇場に現れるのでは?」


「そうだ、

これで桐里様をひきつけられるかもしれない」


目を閉じてみると、

あの祭りの日の桐里を思い出されるのだ。

無邪気で金魚と遊び、

笑顔にあふれた愛しい女と遊んだ日。


「…分かった。見つけよう」