「葵屋の人たちは、街を教えてくれないのです。 宗十郎様は教えてくださるから…、 とても楽しいのです」 柔らかい笑みを言葉に付け足しするみたいで、 不意に笑ってしまえば、 「お、おもしろい話でしたか?」 「いや別に…」 花魁というよりも、妹だ。 もし客をとることになれば他の店からも来るだろうな。 「霧里は美しい、何故客をとらない」 「…私は本当は生まれてはならなかったからです」