「離してください、もう私は…」


「桐里は生きなくては、

お父上が悲しむだろう」


「でも、それでも私は

宗十郎様を裏切れません…」


「世がそなたの苦しみを取り除くぞ」


「出来ませんっ

…宗十郎様が嫌っても好きなんです」


頑なに拒む私を大きな体で

預けさせてくれる将軍様は、


「世は桐里といたい」


甘い言葉が今の私の救いの言葉でした。


突然唇を奪われて、

痺れる感覚に堕ちていってしまいそうです。



「……桐里…」



「…吉宗様っ本当に私でよいのですか…」


「そなたしかいない」


「……はい…――」