「…今、

茶屋の主人が私を殺そうとしました。

だから共ににげているのです」


「酷い、江戸に来たわけか」


「でも…宗十郎様がそばにいてくれるから

幸せなんです」



「……うむ」


「…あの、」


桐里の愛らしい表情は

曇り始めて世の刀を見ていた。


「吉宗様はお侍さまなのですか?」


柔らかい細い髪を梳き、

「違う、

それは断じて違う」

両腕の中に霧里を。