悲しく微笑んで、


「名前は?」


「桐里でございます」


「…桐里さんはおそらく望まない事態に

さらされることでしょう。

旅といいましたが、逃げていらっしゃるのでしょう?

なら、逃げなくてはなりません…」


口を酸っぱくして話しているようなその方は、

牢を開けたのです。


「これくらいの牢ぐらい私には簡単です。

だから、直ぐ後で逃げますから」


宗十郎様の元に帰られると思って、

素直に従ったのです。


あの方のように優しい女性に出会えて、

私は自分の教訓を作ったのです。



誰であろうと、優しくあれ…――