小さく笑った桐里が、 「…新しい宗十郎様を見ているようです…。 すべての宗十郎様は素敵で…、 少しずるいです」 「……ずるいのはどっちだ」 甘い時間が流れている自分は、 桐島様たちのことを考えた。 好きな女と慰安旅行でもしているようで、 悪い気が今を何度か邪魔をするのだ。 桐島様の別屋敷に向かうと、 門前市では見ない参勤の様子が見られる。 列を作り、 明るい様子が厳かに変わり俺たち含めて 土に頭をつけるのだ。