――― 辛い旅という苦難が苦と感じないのは、 お前がいるからだろうな。 過ごしていく途中で桐里が優しくて、 好きになる感情が大きくなるばかりだ。 「…ここだ」 九日という時間をかけて辿り着いた江戸は、 都会の中の都会と言ったところか。 「宗十郎様は江戸に訪れたことがあるのですか?」 「いいや、だから…お前と同じだ」 「…そ、その…」