いつか…そう、
宗十郎様と幸せになれることを
夢みていられますから…。
「旅というものはあまり…好きではないな。
ここは門前町(今でいう石川県輪島市)だ。
京、江戸ある桐島様の隠れ家に行く。
江戸の方がいい」
お前のためなんだ、と
低い声でささやいた宗十郎様は、
「お前は間違いなくお上に
見られてしまえば囚われてしまうだろう。
だが、
お上は近場の女よりも遠いところの女を見るだろう。
だから、江戸だ」
頬に優しく撫でふわりと唇をお付けになりました。
大きめの布を私にかぶせて、仕様がないと言ったのです。
「はい…」