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「秋良を気にしては駄目だ。
目的はどうあれ…、
だがしかし桐島様が決めたことだ」
旅の準備をしなさる宗十郎様が
包みに小判やお結び、小刀などの必需品を
お入れなさっているのです。
「菊乃丞様はどこにいかれるのですか」
「桐島様についている。
桐里の次に狙われているのは、桐島様だ」
「…そう、ですか」
「お前は何も心配することはない。
私が朝みたく守ってやるとも。
着物では、目立ってしまう…。
浴衣を手配した、着替えてくれ」
回れ右をし、
私に背を見せた彼であるけれど、
不安な気持ちと守られていて
とても嬉しい気持ちになりました。