「〝桐島園”の花形の宗十郎様は容姿端麗でかつ才色に優れた方なのよ」 女郎の話で、髪をとかされながら小耳にはさんだのが最初でした。 「霧里太夫どうされたのですか?」 「いいえ…なんでもありません」 私の様子に言葉を口にしたその人は声のする方を遠目で見ながら、 嗚呼と言葉を漏らし、 「陽を目に出来ない太夫はご存じないでしょう…、 けれど今夜のお座敷の相手は桐島の宗十郎様です」 え…?