私は、
ドラムの健二先輩と
延々と話し続ける香織を置いて
先に帰宅していた。


「..きっと、君...に...?」


部屋には
どう聞いても結ばないくらいの
弦を弾く音が転がる。

ただでさえ遅れてるし、
早く追いつかなきゃいけない。
その為にも、
明日からの土日頑張ろう。
凌先輩の足を
引っ張りたくはないから。


「ぼ、く....は...あれ?」


歌詞を
口ずさみながらやるけど、
なかなか頭がついて行かない。

部室でいつも聞いていたのに、
この程度なんだと思うと、
現実の厳しさを
ひしひしと感じた。