遥先輩のおかげで、
その日に基本練習が終了した。


「よし、これで基本は完璧なはず」

「有難うございました」

「いーえ」

「遥!終わったんなら楽譜持ってって」

「んー」


ベース担当の先輩に呼ばれて、
遥先輩はそっちに向かった。

やっと、みんなに追いついた。
文化祭の曲が弾ける。
そう思うと、嬉しくてたまらなかった。

すぐ、遥先輩は楽譜を持ってきた。


「はい、結衣ちゃんの」

「あ、有難うございます」


先輩に手渡された楽譜に目を通す。
隅っこに“結衣の分”って書いてあった。


「これって、誰が作詞作曲してるんですか?」

「凌だよ。全部アイツが考えてる」


驚いた。
確かに凌先輩はギターも歌も
上手いけれど、
そんなこともできるなんて。


「タイトル....“with YOU”」

「“君と一緒に、君のそばに”」


私の後に、
遥先輩が日本語で言った。
タイトルからして、
凌先輩らしい感じがした。