凌先輩が他の一年生の子を見る間、
私は香織と喋っていた。

「ねぇ、あたし気づいたんだけどさ」

「ん?」

「あの一年の真弓って子、凌先輩狙ってると思う」

香織はそう言った。
視線の先を見ると、凌先輩と
一年の子が楽しそうに話している。

確かに、やたら密着してる。


「別にいいんじゃない?凌先輩嫌がってないみたいだし」

「や、あれはどう見ても苦笑いでしょ」

「どう見ても楽しそう」


本当は嫌だけど。
凌先輩は私専属じゃないし、
気にしなければいい。

...そう考えても、
そっちに目がいってしまう。
集中しなきゃいけないのに。


先輩、
こっち来てくれないかな。


けど
その思いも虚しく、
結局その日は
最後まで真弓って子に教えていた。