「じゃあ、次これやってみよっか」
「はい」
少しずつ難しくなり、
私の手も回らなくなってくる。
「んー難しいねぇ」
「はい・・・」
「じゃあ、このコードをー・・・」
隣に座っている凌先輩が
急に後ろに回って、
ギターのコードを
私の手の上から触った。
つまり先輩の手が触れたわけで。
私の心臓がドキドキと波打つ。
顔もきっと真っ赤だ。
「あ、ごめ」
「いえ・・・」
私の照れが伝わったのか、
先輩は手を離した。
意外とゴツゴツしてなくて、
指も細くてあたたかい手だった。
「えと、一旦休もっか?」
「はい」
ガタンと立ち上がった時に見えた先輩の顔は、
少しだけピンク色に見えた。
可愛いなって思った。