【原本さん。実習生の指導お願いしますね。】


ぼーっとしてた私に施設長が言う。


えっ?!私?

聞いてないんですけど・・・


【あ・・・はい。】



【原本さんに色々教えてもらってくださいね。勉強してるだけあって知識も豊富なので。】



施設長のいつもの嫌味に嫌気がさす。




【よろしくお願いします!】


そんな私の機嫌を余所に、実習生の酒田くんは私を見て言う。


今時の若者と言った髪型。


教育学部の学生のイメージが

瓶底メガネって・・・

マンガの見過ぎか(笑)


【こちらこそよろしくお願いします。】

自分のくだらない

妄想に笑ってしまう。




夜勤番からの申し送りも終わり、私は酒田くんを連れて

まず、施設内を案内した。


【ここから向こうが利用者さんたちの居室です。普段はみなさん思い思いにリビングで過ごされている方が多いです。】



【そして、ここがトイレ。小規模な施設なので1ユニットに3トイレが設置されています。】


【キッチンとお風呂はユニットごとにあって、食事のメニューはユニットによって異なります。利用者さんに関しては事務所にアセスメントがあるのでそれを参考に1日目はまず・・・】



私の淡々とした説明をメモをとりながら聞く酒田くん。




19歳ってこんな純粋な目するんだ・・・

私は疲れ切ったおばさんだ。


25歳で離婚して、気づいたら27歳。

誕生日が来たら28歳だよ・・・