「秋紀お姉さま!」
朝食を食べに部屋を出た秋紀に声がかかる。
「美奈子。おはよう。」
声の主は九條美奈子。和弘の実の娘、つまり秋紀の義理の妹だ。
秋紀の2つ年下で明るく、好奇心旺盛な性格だ。
秋紀がここに来たばかりの頃、美奈子さんと呼ぶ秋紀に怒って呼び捨てでないと反応しなかったため。というのと、今の両親に呼び捨ての方が姉妹らしい。と言われ秋紀はずっと呼び捨てにしている。
もちろん両親もお父様、お母様と呼んでいる。
「お姉さま!今日は何の日かご存知ですか?」
「今日?」
美奈子がわくわくした顔で秋紀を見つめる。
が、今日は何の日やらさっぱり見当もつかない。
じれったくなったのか美奈子が声を上げる。
「もう!お姉さまのお誕生日ですわ!!」
秋紀はああ…と思った。そういえばもうそんな時期だ。
「そういえばそうね。」
この歳になって自分でも忘れているのにまさか妹が覚えているとは思わなかった。
「よく覚えていたわね…」
「当り前ですわ!お姉さまのお誕生日を忘れるはずがありません!!」
そう、美奈子は昔から髪型や服の趣味まで合わせるほど秋紀が大好きなのだ。
今日はこの前秋紀がしていたリボンの髪型をしている。美奈子は綺麗な黒髪だが。
服装は…これもまた秋紀のに似た服を着ている。
別に秋紀は自分を慕ってくれるのが嬉しいので、いくら服が被ろうが髪型が被ろうが気にしない。
「お誕生日おめでとうございます!」
「ありがとう。」
そう言って2人は仲良く食事へと向かった。