「ん…」
目を開けると眩しい光が差し込んでくる。
爽やかな風に鳥の鳴き声。
いつもと同じ朝だ。
「秋紀お嬢様、おはようございます。」
窓を開けていたメイドが振り返り、深々と頭を下げる。
秋紀の世話係、麻耶だ。
「うなされているご様子でしたが…」
言われてようやく自分が汗でぐっしょりなのに気付く。
「大丈夫よ。麻耶、何か飲み物を頂けるかしら?」
心配する麻耶に平気そうにしながら秋紀は飲み物を頼んだ。

麻耶が部屋から出て行くと秋紀はふぅ…とため息をついた。
「久しぶりに見たわね…」
ここに来た頃によく見た夢だ。
8年前に起こった事故の記憶。