「私のお母さんはね…」
秋紀の発言に朝陽は意識を元に戻す。
「小っちゃくて細かったけど、すごく美人でね、料理もすごく上手だったの。」
朝陽は、知ってるよ。とも言えず黙って聞いていた。
「お父さんは運動神経が抜群で休みの日はよく一緒に遊んでくれたの。」
これまで誰にも話したことがなかった両親との思い出を話す。
「でもね、2人とも勉強がダメでね…隣りに住んでいたお兄さんが宿題を見てくれたりしてね。」
ここまで話して秋紀はしまった!と思った。
せっかく朝陽が忘れているのに自分の発言で思い出してしまったら、この関係がどうなるかわからない。
避けられるかもしれないし、朝陽が辞表を出すことだってあり得る。