そんなことを話しているうちに目的の場所に着いた。
「ここは…」
墓地だ。秋紀は朝陽を振り返る。
「お母さんとお父さんのお墓よ。実は私ね今の両親の本当の子じゃないの。」
「存じ上げております…」
朝陽が答えると、秋紀は小さめのお墓の前にしゃがみ、手を合わせる。
朝陽は秋紀が養女だということを事前に和弘から聞いていた。
というより、初めて秋紀と出会った時から知っていた。
昔、自分が恋焦がれていた女の子。
挨拶もできないまま隣りから引っ越してしまい、所在もわからず、ずっと探していた。
朝陽が九條家…秋紀の執事になったことは偶然だ。
執事になれば秋紀に会えるかもしれない…とは思ったが、まさか本当に会えるとは思っていなかった。
想像通り美人になっていたことにも驚いた。まあ、昔から可愛かったのだが……