朝食の後、秋紀は部屋に戻り麻耶を呼んだ。
「それで、どうしたの?」
秋紀が訪ねると、麻耶はためらいながら話し始める。
「実は、私の妹が手術を受けることになりまして…」
麻耶の妹が手術を受けることになったそうだ。
もともと心臓が弱かったらしく、難しい手術だそうで手術後も1年は入院生活を送らないといけないらしい。
その上手術までに体調を整えたりする必要があり、その期間が約1年だと言う。
「妹には3歳の娘がおります。まだまだ幼いので妹が退院するまで、私が面倒を見ようと思っております。」
麻耶の話を簡単にまとめるとこうだ。
麻耶の妹が手術のため、手術前と手術後の約2年入院生活を送らなければいけない。
妹には3歳になる娘がいるが、父親は仕事で面倒を見るのが難しいため
麻耶が実家でその娘の面倒を見ながら生活をする。
そのため2年ほどこの仕事を休みたいとのことだ。
「お父様には言ってあるの?」
「はい、私は辞職届を持って行ったのですが…」
「お父様に止められたのね…」
麻耶は申し訳なさそうな顔をする。
「2年も休んでしまえばサボっていることと同じです。それなら辞めてしまった方が迷惑にならないと思ったのですが…」
秋紀はできれば麻耶に戻ってきてほしいと思う。
もちろん、本人がそれを望んでいないのなら話は別だが。
「麻耶はこの仕事を辞めたいと思う?」
「そんなことは…この仕事も秋紀お嬢様のことも大好きですし、できるなら続けたいです。」
「ならお休みってことで、また私のところに戻ってきてくれない?ダメ?」
秋紀がじっと見ると麻耶は困った顔をしながら
「戻ってきてもよろしいのですか?」
と言う。
「当り前じゃない。むしろ戻ってきてほしいわ。」
秋紀が笑顔でそう言うと麻耶は、はい!と答えた。